2002年5月 北関東


■1日目 晴れのち曇り

いつもながら早朝に起きるというのはつらいものだ。頭がぼーっとしている中、7時に家をでる。駅までは徒歩15分と読んだが、残念ながら荷物が重くて間に合わず。予定では西大寺から急行にしていたので、もう1本後でも間に合うはずだ。最悪特急に間に合わなくても、ひかりの自由席で追いかけてもよい。

無事に次の普通で西大寺にでると、次の京都線は押さえに用意していた特急だ。特急券を買うとまだ1号車の席が残っていた。丹波橋に停車するようになって初めての乗車だ。

京都では久々にゆっくりと新幹線ホームへ。とはいっても、売店で弁当を買っていたらもう目的のこだまの乗車案内が流れている。9号車1F個室7番が今回指定された席だ。

予想通り最初に車内改札があった。スペース的にはB個室寝台などよりも(寝台と比べるのは不適切だが)広い。ただし、両隣がともに小さな子供連れでやかましいのには少々辟易した。朝が早かったので少々気分が悪い(車酔いの症状に似ている)のでさっそく弁当を食べて、落ち着いたのは岐阜羽島あたり。ホテルを予約したいのだが、個室内の電話はコレクトコール専用だし、ひかり・のぞみの追い抜き停車がまったくない。仕方がないので車内電話で電話をかけるがフロントは無人で留守番電話が回り出した。

部屋は空調の出来がよくないのは難点ではあるが、かなりの角度までリクライニングするシートもあるし、前後にシートが動くのでデスクで何かするにも適している。東海道新幹線全体の列車密度が上がるのなら、こういう設備を持った列車を(すべてとはいわないから)残しておいてもらいたい気もする。残念ながら今年中だったかにこの1人用個室グリーン車を連結した列車は新幹線から消え行く運命にある。

東京駅の出口をでてみどりの窓口を探すが、さすがにGWでよく混んでいる。あまりゆっくりしていられないので、自動販売機で特急券を購入。万座・鹿沢口までの乗車券を買いたかったが選択肢にでないため渋川まで。ホームへ上がるともう10両のあさひが入っていて指定席のデッキにも立ち客がいる。これでは自由席車は相当な混雑だろう。禁煙車のデッキをえらんで立つが堂々とタバコを吸っているオヤジがいるのはまいった。

スポーツバッグの上に座って堪えること1時間ほど、高崎で降りる。在来線ホームへ行くとまだ電車は入っていないがかなりの人が待っている。合宿らしい中学生・高校生の姿も多い。電車は115系の3連。まあ、107系2連よりはマシか。当然ながら大混雑である。途中の駅からも地元高校生などが乗って来るので、渋川の先、吾妻線の中之条あたりまではかなり混雑していた。そのうち車内が空いてきたので後部の車両へ移動する。途中の駅で旧型客車が留置されているのを見ながら進むと、終点の万座・鹿沢口駅は築堤上にホーム1本だけの棒線駅。ただし、出発信号は両方向ともちゃんと存在する。これは、大前に電車が入って停泊している時に万座・鹿沢口折り返し列車を設定できるように分割しているのだろう。

万座・鹿沢口駅
よく見ると万座・鹿沢口駅の裏はものすごい崖になっている。大前駅には、「大雨やがけ崩れなどで電車が運転できないときにはバス代行します」という内容の張り紙まであった。
駅を出て食堂を探して大前方向へ歩いてみるが、西武高原バスの営業所が見つかった程度で結局駅前食堂に入った。トイレを借りると今時なつかしいくみ取りトイレで、うっかり胸ポケットにいれたデジカメを落としたりしないよう緊張する。親子丼(木の芽が入っていた)でやっと昼食にありついたあと、電車はないのでタクシーで大前駅前へ。うわさ通り駅前に旅館があり、温泉に入ることにする。入浴料が500円と、タオルを忘れてきたので200円。浴室はそれほど広くはないが、聞いていたとおり低温で入りやすい。露天風呂は外気でさらに湯温が下がるのだが、入ってしまえば寒いということはない。ゆっくり温泉を堪能して風呂を出ると、ロビーにJR東日本マークの飲料自動販売機があった。非常時の連絡拠点になっているのかも知れない。

大前駅

ホーム待合室の向こうに見える建物が嬬恋温泉。食事をする施設はないが、宿泊可能。川原にはキャンプ場があり、夕方までは入浴のみの利用もできるので便利。露天風呂は川を眺めながら入ることができる。

駅に出るともう電車は入っていた。1面しかない線路に独特の面構えの電車が止まっている。今度は107系2両である。看板によれば大前駅は標高 800M を超えていて生駒山上とほぼ同じということになる。帰りはたしかに2両で充分なだけの乗客しかいなかった。大前からは私を含めてたった2人のみ。スタッフは運転士・車掌に車内整備業者氏の3人いたから乗客より多い。平日なら通学の生徒で混むのかもしれないが、夕方の上り電車だとこんなものか。それでも万座・鹿沢口や長野原草津口から乗客が増えてきた。長野原草津口の手前で廃鉄橋を発見。帰ってから調べると長野原線(長野原−太子)の跡らしい。

渋川で下車する。駅周辺の案内板が見つからないが、巧い具合に旅館・ホテルの所在をしるした地図があった。駅から5分ほどでホテルに到着。チェックインをすませて正面を見るとサティがあるので覗きにいったり、例の「頭文字D」(C) しげの秀一、講談社 によく出てくる鉄塔(NTTのものらしい)を見ながら散歩をする。ファミレスもすぐに見つかった。

渋川ファミレス

一部で有名なファミリーレストラン。左手の2車線道路を進めば渋川駅に出る。その反対方向が榛名山へ向かう道路。渋川市内にて。

夕食をすませてホテルに戻る前に隣のラーメン屋へ入ってみる。関東の小さい地元ラーメン店というのはたぶん初めてである。あっさりと塩ラーメンにしてみた。コーンの追加ができるらしいのに、切らしているのはどうかと思うが、麺は手打ちで独特の歯ごたえがあり、悪くなかった。直前に別の店で食事をしてもこれだけの評価なのだから合格店だろう。

24 時間稼働大浴場があるということなので、さきほどの温泉で頭も洗っていない(ドライヤーがなかったので)ことだし出動。10時を過ぎていたので人影は少なかった。風呂場はさきほどの嬬恋温泉よりずっとりっぱであるが、求めるものが違うのでいたしかたなし。

ベッドに入ってあすの予定を組んでみるが、バスの乗り継ぎを予定と逆回りにしてみることにした。これでたぶん榛名湖登山バスの混雑に遭わなくてすむはずだ。
■2日目 曇りのち雨
6時半に起きたのはいいが、電車は7時過ぎではなく、7時40分頃で余裕がありすぎた。駅から電車に乗るが3番線に特急が入っている。この後にでる普通が私の乗るべき電車だ。新前橋に着くと先行した特急がまたこの電車を待って発車。こちらはその後を追いかけて高崎へ到着した。うっかり新幹線口へ出てしまうが、競馬場行などの一部バスだけなのでまた自由通路を歩いて反対側へ。こんどはすぐに見つかった。

群馬バスは見ただけで東急系列と分かるボディカラーだが、関西方式の後ろドアなのが珍しい。登山客などを乗せてまだ人通りの少ない休日の朝の高崎市街を抜けて行く。榛名町の中心である室田営業所で 20 分停車。トイレをすませておく。このあとは地図で見た通り本格的な峠の登りになった。狭い峠道でこうなるとさすがに RU の中型用エンジンではたいへんだ。しかし、山は新緑まっさかりで日ざしを浴びると輝いているように見える。上りつめたところが榛名湖の外周でくだり始めるとすぐに白鳥のボートが見えて終点である。

あまり時間がないのでみやげ物店街をちらりと眺めただけでバス乗り場に戻った。もう伊香保温泉行は車がきていたのでさっそく乗り込む。さきほどの群馬バスの運転手が営業所の鍵をあけようとして苦労しているようだ。回りは観光客を乗せた馬車などが行き交いにぎやかである。

群北第一バスはレインボーの中型車だ。人ごみが車道にはみだして危ないことこの上なし。反対方向もかなり車が多い。ロープウェイ乗り場を迂回して本道に戻り、ヤセオネ峠バス停にとまると、あのバトルのスタート地点だった。そこから下りにかかっていく。たしかに加速型ギアレシオの中型バスとはいえ4速(+排気ブレーキ)で曲がるコーナーが多く、さきほどの天神峠とは違って確かに高速コーナー中心だ。5連(正確には4連)ヘアピンの写真を撮り損ねてしまったが、バトル後半の3車線コーナーはばっちり。ゴール地点が伊香保温泉の終点で、点描で出て来るバスはこの伊香保温泉案内所に止まっているバスだった。

ヤセオネ峠
ちょうどスタート地点に相当する場所で乗降中(なにしろ路線バスなので)、白のエボIV が追い抜いていった(ナンバープレート部はモザイクを入れています)。ついでにこのあとの下り坂で白の FC (サバンナRX-7) ともすれ違う。

高台の右コーナー 厳しい左コーナー
左の写真もよく点描に出て来る後半のコーナーで、後ろに伊香保温泉街が見えている。作中でシビックがクラッシュした地点でもある。右の写真は作中で高橋涼介がクリップにつけず、インを突いたハチロクに抜かれたコーナー。見た目より結構タイトなコーナーだった。


予想通り、榛名湖へ上がるバスを待つ人はかなり多い。降りたバスとは別にが1台止まっているが、関越交通の時刻表を見ても渋川行は出た直後である。仕方なく関越交通の伊香保温泉停留所へ歩き始めると、後ろからバスがやってくるではないか。うまい具合に渋滞と信号に捕まってくれたので2つ先のバス停から乗車。あれ?群馬バスの車か…。いやな予感がするなぁ、と思って、見晴し下のバス停で止まった時に車外スピーカーの案内をよく聞くとやはり高崎行だった。目の前の交差点は右折:前橋と出ていて車も右折レーンに寄っている。やばい。しかし信号のすぐ先に、渋川方向にも前橋方向にもバス停がある。降車ボタンを押して降りるとビジターセンターの前だった。
ゴール地点 乗り換え地点
バトルのゴール地点。この左側が伊香保案内所になる。伊香保温泉のバス停は JR 時刻表にもある通り、バス会社によって終点が異なるので、伊香保町のタウンマップhttp://www.town.ikaho.gunma.jp/acbus.htmlをよく見ておくとよい。右側は、乗り継ぎにつかった地点で、群馬バス(高崎系統)は地蔵河原、関越交通は水沢入口とバス停名が異なる。実はこの交差点も頭文字Dの点描で出てきている(作中ではもう少し交差点手前からの絵になっている)。

渋川方向のバス停に移動するとちゃんと渋川行が止まる停留所だったのでやれやれ。どうやら予定していた早い方のバスに乗れそうだ。路肩で荷物を下ろしてまっていると、予定時刻より5分も早いのにバスがやってきた。反対側の伊香保温泉・榛名湖方面の車はかなり渋滞しているので遅れているのだろうか。方向幕は市役所通り経由とあり、時刻表上は10分以上前に出たはずの渋川行だ。ラッキーがつづいている。やはり逆周りは大正解だ。これ幸いと乗り込んだ。さらに運の良いことに、頭文字Dでよく出て来る市役所前通りの歩道橋のある道路を通った。市役所経由は本数が少ないのでこれまた非常にラッキーだった。

今日はまだツイている。駅に着くと3番線に12系客車が止まっている。どうやら「SL&EL奥利根号」で SL 牽引列車らしい。あわてて駅の外から後ろ姿を撮影した。本物のドラフト音をきくのは久しぶりだ。改札で両毛線経由の烏山までの乗車券を購入してホームに入ると11:01発が03発に変更の吾妻線直通普通高崎行がやってくる。編成が短いのは難だが文句を言ってはバチが当たる。これが新前橋で具合よく予定より1時間早い小山行に繋がるのだから。さらに新前橋ではわずかな時間の間にだるま弁当とお茶も購入でき、前橋を出て空いた席を見つけて朝昼飯にした。弁当は鶏肉と山菜が中心のあっさりしたあじわいだ。

渋川駅SL

もう少し早く気付いていれば跨線橋から撮ったのだが、汽笛が鳴ってから追いかけたのでこのような写真になってしまった。渋川駅にて。

さて、予定が1時間繰り上がっているということは、うまくいけば1本早い烏山線に乗れるかもしれない。小山では微妙な接続だが快速宇都宮行(小山からは各停)があり、宇都宮で普通黒磯行に乗ればうまく烏山線に繋がる。帰りは宇都宮に戻ると、日光線はすこし待ち時間がある。今回 ThinkPad を再初期化した時に Smart Media リーダーのデバイスドライバをインストールし忘れているので、SM カードの予備が欲しいし、宇都宮なら電機店ぐらいあるだろうから補充しよう。あとは車内でこの文章を書いて過ごす。

さて左手に遊園地が見えて小山が近づく。宇都宮線は2分接続なので急いだ方がいい。が、小山のコンコースはかなり遠く、やっとホームを見つけた時には 115 系11両編成が宇都宮に向けて出て行くところだった。

呆然としていたが、これでのぞみが絶たれたわけではない。新幹線乗り場に行くと 13:09 に各停なすの号郡山行がある。1駅なので自由席特定区間だし思い切って新幹線乗り場へ。時刻表を繰っていると、宇都宮でさきほどの快速より先に着くと思っていたが、それは見間違えであることに気付き愕然とするが、この列車の小山−宇都宮間がえらく遅いようだ。他の列車の所要時間から見ると約5分停車らしい。この列車の宇都宮発車時刻は 14:26 で、黒磯行の発車時刻が 14:24。5分停車だとすると 14:21ごろ着となり、急げば間に合う可能性がある。天はまだわれをみはなしていなかった。

車内放送が宇都宮到着を告げる。やはり5分停車らしい。乗っているのは中央付近の6号車で階段までそう遠くなく、運がよければ階段の前かも知れない。落ち着いていられなくなったので、デッキで様子を見る。14:18 頃には宇都宮市街が見えているので少しは早く着くかと思ったがさにあらず。やはり時刻通りにドアが開いた。げっ、階段の中央だ。他の人に悪いがダッシュで階段を降りて在来線の乗り場へ。これがまた小山のような意地悪な構造かと思ったが、幸い黒磯行きは新幹線ホームに一番近いホームからだった。楽々電車に乗り込めたが 115系4両の車内は満員である。2駅なので我慢することにしよう。

宝積寺で烏山線へ乗り換える。家族連れなどが跨線橋を渡る。ロングシートに改装されたキハ40-1000代の2両編成。列車は淡々と丘陵地帯を走る。終点に到着。JRバス関東が駅売店を開いているのがおもしろい。駅前ではこの列車に接続の馬頭方面へのバスが出て行った。すでに旧真岡線茂木へのバス路線は廃止になっている。かつてはこの地区も路線「網」というにふさわしい路線群があったに違いないが、いまや中途半端なローカル輸送のみで、これでは事業として採算があうわけがない。それはともかく、ここで今夜のホテルを電話予約した。駅前を散歩すると、鮎を店頭で焼いている店がある。惹かれるものがあるが、まだこの時期なので稚鮎ばかりのようだ。駅前通りをあるくとすぐにT字路になり、これが国道である。左に出れば茂木、右へ出れば馬頭から那須方面へ向かう道路だ。宝積寺に戻り、宇都宮行に乗り換えだ。反対ホームには新型の近郊型10両編成が入ってきて、こちらにも同じ形式の電車がやってきた。ドアのがたつきがえらくうるさいのが気になる。

宇都宮でいったん改札を出て電機店を探すが、駅前には見当たらない。LAOX か何かが宇都宮に出店していたと思ったが、専門店でなくてもいいやと探しているのにロビンソンにも駅ビルにも電機店もカメラ屋も見あたらない。あまり時間がないのであきらめることにしてコンコースを歩いていると、駅弁セールらしくなぜか横川の釜飯を売っている。峠繋がり(意味不明)で買ってもよかったのだが、容器を持ち歩くほど荷物に余裕はない。結局東北のあわびめしとほたて弁当を購入。日光線発車まであと10分あるのでホームで1つたいらげる。あわびめしの方が容器が大きいので先にえらんだが、あわびの量を別にすれば全体としてのバランスはなかなかよかった。

電車は107系4両。ロングシートでは残りの弁当は持っているしかない。しかもこれから客が減って行くと予想しているのに鶴田で女子高校生3人が反対側の電車から乗り換えてきた。どうやら先行している鹿沼で折り返しの電車を日光行と間違えて乗ったらしい。それでも途中で車両の乗客が1桁になったので、残りのほたて弁当を片付けてしまおうと大急ぎで食べる。ただ、こっちは御飯の量に比べておかずの量が少ないので食べにくい。減点。

今市までに無事食べ終えたが、今市からは男子高校生の集団。これがまた小学生のように吊革にぶら下がって遊んでいる。困った連中だなぁ、と思っていると、隣の車両でも同じようなことをやっている奴がいる。須藤京一の言葉じゃないが「いろは坂のサルじゃねぇんだから」と言いたくなる気分だ。

日光で下車。駅前にデッカー車が入ってきた。奥細尾行とあるので念の為にバス運転手に聞いてみると、東武日光はもうすぐそこに見えているよ、ということだ。雨の中歩くと駅の案内放送で「臨時快速の北千住行は5番乗り場から発車します」という耳寄りな話。明日の水郡線ダイヤの関係で郡山宿泊にした都合上諦めていた東武宇都宮線に乗るため新栃木へ出るのなら絶好の電車だ。しばし考えたがしかし切符は下今市までにした。臨時快速は前に野岩鉄道直通電車で乗ったタイプと同じ、直角椅子の電車。クロスシートはほぼ埋まっているのでロングシートに座る。近くに社会人風の女性3人グループがいて、地方によってイントネーションが違うという話をしているのがおもしろい。

下今市で降りると駅弁の立ち売りががんばっている。そういえば新幹線から乗り継いだJR宇都宮でも立ち売りがいるのは結構なことだ。反対側のホームには日光行と鬼怒川温泉方面行の切り放し作業が行われていた。私は改札を出てJR駅へ向かって歩くが、またパラパラと雨が落ちてきた。JR駅までは10分ほど。近鉄奈良・JR奈良間と同じような距離だろうか。なんとか臨時快速八王子行の時間に間に合った。朝のバスの遅れからここまで綱渡りのようなスケジュールだ。郡山までの切符を買いたかったがあまり時間がないようなので宇都宮までの近距離券だけ買ってホームへ。

電車はさきほど日光でちらっと見た通り169系6両編成。私が乗ったのは後から2両目だが、こちらはシートが交換されていないタイプ。やはり高級シートの方が人気があるのか前3両に比べてガラガラだった。169系は現在の波動用専用になるまでは日光線など走ったことはなかったのではないだろうか。宇都宮では新幹線まで6分しか乗り継ぎ時間がない。6番線に到着と読んで後ろの方でいいや、と思ったのだが、予想に反して5番線到着となり、階段は一番前だ。慌ててコンコースを上がると乗り換え改札の手前に精算所があった。郡山までの自由席特急券と乗車券を買う。窓口が新人さんのようで大丈夫かと思ったが、なんとか宇都宮−郡山の乗車券と特急券セットが出てきた。本当は、今市から宇都宮までの乗車券は100キロ以内の切符だから打ち切り計算ではなく差額精算なのだが、時間がないのでまあよしとしておく。ホームに上がろうとするとちょうど列車が入ってきた。10両編成のようだから5号車が自由席禁煙車だと思っているとなんと指定席らしい。仕方がないので2号車まで歩くことになった。

郡山を降りるとあっけなくヨドバシカメラが駅近くに見つかったが、ここまできたら先にホテルに入ろう。折あしく雨が降り始めたが、それほどぬれずにホテルへ到着した。荷物を置いてさっそくパソコンを繋いでみる。周辺機器メーカーだからたぶんドライバは Web にあると思ったが予想通りだ。うまくデータの吸い出しに成功した。

■3日目 雨のち晴れ
今朝は霧雨だ。駅へ急ぎ福島交通バスを撮影する。クラブ活動にでかける高校生集団が多い。水郡線はキハ111+キハ112 の固定2両編成で、ホームの端から発車する。その賑やかな(はっきり言えばうるさい)高校生の集団は磐城棚倉の先で降りたので、弁当を広げる。郡山駅では朝から景気良く売店で弁当を売っていたが、旬の弁当ですよと販売員お勧めの竹の子弁当にしてみた。2つの折りに別れていて品数は豊富。がんもどきが少し辛いほかは味付けもよく、これで1000円ならお値打ちである。

県境を越えてすぐに常陸大子へ到着。ここで車両も替わるようである。荷物を待合室の片隅に置いておき駅前を散歩するここも内陸の重要な交差点のようだ。さきほどのディーゼルカーは側線に引き上げてから車庫に入った。同じ側線の少し先には3両のディーゼルカーがいる。側線はまだ1本あるのだから別の線に入ればよさそうなものだが、配線の都合だろうか。

交差点

ここ常陸大子もかつては国鉄バスが入っていて、昨日訪れた烏山から馬頭を経由してここ常陸大子までの路線があった。現在は廃止されている。


ここから水戸行に乗り換えるが時刻表上ではワンマンなのに連休の多客対応か車掌が常務している。さきほど側線に止まっていた3両編成が本線折り返しで横付けされた。さすがに結構乗車率が高い。座席はさらっと埋まっている。ところが常陸大宮あたりからさらに乗車客が増えて来る。通路までいっぱいの状態で上菅谷を出る。常陸津田は水戸市街を見下ろす高台の寂しい場所にある駅だ。スケジュールのできによってはここで降りていたかもしれないのだが、まるで昔の奈良線の山城多賀(今は交換設備増設とともに雰囲気がかわったが)のような感じ。つぎの日立青柳駅は珍しく島式ホームだったから交換だったら走れば間に合ったかもしれないが。

満員のまま水戸に到着。階段は大混雑している。一旦改札を出て常陸太田までの切符を買いなおして駅に入る。さっきの3両編成がそのまま常陸大子まで戻るのだが、途中の上菅谷で常陸太田行に接続となっている。中間運転台に乗って窓をあける。クーラーが欲しくなるような陽気になってきた。上菅谷には2両編成の常陸太田行が待っている。水戸からだと右に分岐するのに支線用の線路が左側にあるのでいちいち本線を横断するのは御苦労なことだ。こちらは丘陵地ですらない平地を淡々と走って終点常陸太田へ到着した。

日立電鉄は元営団車を両運転台に改造した車両で非冷房。扇風機も回っていないので結構暑い。交換駅には単純なスプリングポイントではなく、時差があって定位に戻るタイプを採用しているほか、出発信号・場内信号の直下には ATS 地上子があるのが見えた。線路はしっかり整備されているのに車両の窓ガラスが極端にきたないのは残念だ。大甕でしばらく停車。駅ホームにある沿線地図によれば鮎川から循環バスがあるらしいのでこの大甕にはもどってこずに進めるかもしれない。

日立電鉄

電車の到着を見守る女性職員。いかにも地方私鉄という雰囲気が漂う駅だった。日立電鉄 常北太田駅にて。

大甕から鮎川へはすぐである。JRをオーバークロスしてほぼ常磐線に沿って走る。高架駅の河原子駅でもバスに接続しているらしい。あとで地図を見ればJR常陸多賀駅まで近いようだ。終点鮎川にはたしかにバス停があり、日立駅へ連れていってくれる路線があるが、一番早い便は20分後でたしかに循環バスであり、日立駅の海岸口を通るらしい。それなら待とうかと思ったら休日は時刻が違うではないか。ちょうどその時日立電鉄バスがやってきて回転場に入ったので、どうなるかと思って見ていたら、方向幕を回送に変えてしまった。バカヅキは昨日でおしまいのようである。

しかたないのでやはり電車で大甕まで戻る。JR改札を出るとちょうど水戸行がくるところらしい。駅前に食堂の類いは見当たらないので水戸まで出ることに。電車はいわきからの便で、455系9両で驚いた。いまや貴重な国鉄急行型電車2種類に乗れるとは思わなかった。勝田に止まると特急ひたちの自由席に並んでいる人の列が長い。それなら大甕から特急に乗ればよかったがもう遅い。水戸で降りて駅ビルで食事。駅構内の展望を眺めたりして一服した。

水戸駅東口

水戸駅西口は駅ビルがあり、ペデストリアンデッキが整備されているが、東口は再開発中なのだろうか。関東鉄道バスらしき姿も見える。

駅に戻ると主要駅停車タイプの「フレッシュひたち」がでるようだ。乗車券はイオカードが使えるが、残額が不足するので Suica を購入。最初は 2000円タイプのものしかないようだ。自由席特急券を構内で買って列に並ぶ。

発車20分前くらいに並んだので混雑はしているがなんとか席は確保。車内ではまたこの原稿の続きを書く。土浦からはさらに乗車客があり車内にも立ち客が出る。電車は定刻に上野に到着。電話でホテルをおさえて秋葉原へ。荷物が重いが ThinkPad 用メモリを無事購入できた。ただし、ドライバーを家に置いてきた(そう、いつもは持ち歩いているのだ)ので、確認がその場でできないのは残念。
■4日目 曇りときどき晴れ
今日はチェックアウトの遅いホテルなのでのんびり。ただし、のんびりしすぎて出発しようと思った時刻から久留里線へ出ようとするとぎりぎりで木更津で間に合わない。おまけに、上総亀山から安房鴨川へ出るバスの接続が極端に悪い。それならばと外房線特急で安房鴨川に出ても上総亀山へうまくつながるバスがない。まあ、一番東京から近い所なので次回に託すことにした。

結局は混雑していたものの20分待ちのひかり号自由席で京都へ。だって、指定席料金700円ってのはやっぱり高いっす。今回は ThinkPad のバッテリーが(途中30分ほど切ったとはいえ)余裕で60%は残っていたのだが、メモリを増やすとどうなるかが気になるところ。


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