2001年6月
■1日目 くもり時々晴れ
早起きして一番近くのバス停へ向かって予定より1本早めのバスに乗る。駅まで行かずに途中で降りてコンビニでお茶を買ってから少し離れた別のバス停を探す。しかし今日も蒸し暑い。ちょっと歩くだけで汗が落ちて来る。しかも運の悪いことにリムジンバスの出るバス停はベンチもなく(あっても雨の残り雫で座れなかったかもしれないが)雨がぱらつくところに日がさしてきた。最悪である。自家用車で送られた3人と一緒に待つが、駅前の交通渋滞にひっかかったようで9分遅れて発車した。
第2阪奈に入って、渋滞の始まった長田手前で近畿道へ。近畿道も八尾などは出口渋滞が本線に絡んでいて危ない。堺泉北は料金所渋滞があるらしいので関空道へ迂回するというアナウンスがあった。バスはいつしか遅れを取り戻してほぼ定刻に関西空港へ着いた。チェックインしようと尻ポケットに手を入れると、旅行会社でもらった袋が2つあるはずだが、航空券の入った袋1つしかない。真っ青になったがいくら探してもJRの周遊券と帰りの寝台券の入った袋はない。家に電話しても、バス会社に連絡しても見つからない。これが逆なら諦めて家に帰るのだが、荷物はすでに北海道へ送ってあるし、あきらめてこのまま出かけることにした。
また今回も金属探知ゲートでひっかかってしまった。前よりも精度をあげてあるようだ。飛行機には修学旅行へ行く小学生が一緒。非常口座席が割り当てられたが、説明も何もなし。いいのか?
梅雨前線がかかっているので少し揺れるがまずまず飛行機の旅は無事に終わって定刻に女満別空港へ到着。今回はタラップがかかった。予想はしていたがやはり女満別・美幌方面のバスはないのでタクシーに乗り込む。あとで地図を見ると西女満別駅なら空港の近くだったようだがこれは結果論。女満別空港は気温30度とかなり高い。駅に着いて待つ間もかなり暑かった。駅は町の図書館を兼ねている建物。日溜まりにのんびり座って時を忘れる。
女満別駅に進入する上り普通列車。北海道は花の季節で線路脇にもいっぱい草花が咲き誇っている。
やっと到着した列車は2両のワンマンディーゼルカーである。2駅の美幌に降りる。美幌峠経由の屈斜路湖観光のバスは昨年よりもずっと人数が多い。観光シーズンに入っているからだろうか。美幌駅からも5人ほどが乗り込む。
美幌峠は今回も霧の中。というか、今回は雨こそ降っていないがガスがすごいし、強風である。軽食を仕入れてバスに戻る。屈斜路プリンスホテルは改装工事が終わったらしい。次が和琴半島である。下車は私1人だった。修学旅行生がいたらどうしようかと思ったがそんな心配はない。ただ手前の露天風呂はみんな覗き込むばかりで、水着着用でも1人で入るのには度胸がいる。もう少し先に共同浴場があるらしいのでそちらへ歩く。掘っ建て小屋があり、たしかに温泉が湧いているが少しぬるい。誰もいないので思い切って入ってみる。
途中年配夫婦がやってきて、旦那さんが風呂場へ入って話を聞いてくるが入るのはあきらめたようだ。温度調節は外でやるらしいので外に出てみるが、説明にあった土嚢は見つからない。結局また戻って風呂に浸かる。そうこうしているうちにそろそろ時間になったので、身体を拭いて外にでて駐車場まで戻る。
和琴半島の先端に向かって右側から屈斜路湖を望む。湖だが風が結構あり、波しぶきのようになっているのが分かる。右手の湖面ではウインドサーフィンのようなことをしている人もいた。掘っ建て小屋の共同浴場は写真の先のほうにある。
4時くらいにタクシーを呼んだのだが10分前に戻って来た。ここからのスケジュールは苦心したところで、時刻表とかなり格闘したのだが納得のいく案はできなかった。タクシー会社の電話番号を教えてくれた店員さんにお礼を言って車で出発して摩周駅へ向かう。かなりの距離があるが料金は5000円ほどで、先日の西藤原−多賀に比べれば半分の出費ですんだ。
網走からの列車が長時間停車している間に釧路からの列車がやってきた。ともにキハ54系単行である。川湯温泉への登りでうとうとしてしまい、気付いたら南斜里だった。知床斜里で降りて旅館へ入る。
■2日目 くもり一時雨
早目に出て駅前を見ていると、網走バスが駅前にいる。斜里バスは少々遅れてきたが、昨日のみどり線に入っていたバスが朝みどりまで行ってその足で知床大橋まで向かうようだ。
しばらく気にいって壁紙にしていた写真(トリミングしています)。朱円橋の先あたりだったと思う。地図を見ても物差しで引いたように道路の線が描かれている。
北海道らしい風景の中をウトロへ。オシンコシンの滝は旧道は通らず国道から眺める。修学旅行生でいっぱいだ。ウトロバスターミナル到着。ここで案内兼車掌のおばさまが乗り込む。当初降りようと思っていた岩尾別温泉では3人ほど乗車。やはり岩尾別のバス停からは相当山道を歩かなければならない。
露天風呂はもう昨日堪能したので知床五湖へ。着いてみると3・4・5湖方面はヒグマが出るので通行止めらしい。ちょうどいいので30分ほどの散策コースを歩く。ゆっくり写真を撮って歩いてもまだ時間があるので展望台へ。汗をかいたのでアイスクリームをなめる。さっき岩尾別温泉から乗ってここで待っていたらしいおにーさんも一緒にバスに乗る。この車がそのまま女満別空港へ行くようだ。かなりな距離を連続して走るダイヤである。
知床五湖のうちの確か2湖から知床峠を望む。雪渓らしきものが見て頂けるだろうか。しかし湖にも数字の無機質な名前がついているのが北海道らしい。
私はウトロで下車。携帯電話で連絡を取り、今日のホテルを予約し、食堂に入って海鮮ラーメンを食べる。この先接続がよすぎて食事が取れないのだ。
ペレケ川の護岸にたくましく生えたはまなすの花などを愛でてバスセンターに戻った。斜里からやってきたバスはウトロで何人か降りて1人が車内に残っていて、ここから2人乗って3人になった。1人は今日は羅臼のホテルに泊まるらしく、港の方へ行きたいのだが、と運転手に尋ねると、斜里から乗っていた人はかなり旅慣れているらしく、アドバイスをしていた。知床峠頂上は晴れているものの、北方四島方面は霧というか雲の中で霞んでいる。さきほどの知床常連氏によれば、10回訪れて見えたのは1・2度ということらしいので、よっぽど運がよくないといけないらしい。そのおにーさんは熊の湯の前でバスを止めてもらって降りた。
私とさきほど尋ねていた人の2人は羅臼のバスセンターまで。羅臼からは釧路行へ乗り換えだ。営業所で切符を買うと5000円近くする。高速バス以外では今まで一番高いかも知れない。バスは標津(国鉄時代の駅名は根室標津)、中標津の営業所に立ち寄り、中標津で運転手が交代する。ついでに私もトイレに行ってきた。
途中別海町では叩きつけるような雨が降ってきたが、知床五湖で降られずに助かった。釧路市の手前に釧路町がありややこしい。釧路市街に入ると人と車の数が一気に増えた。JRのガード下をくぐって釧路駅前へ到着する。
駅に入り2両の普通ディーゼルカーに乗る。にぎやかな高校生集団はみんな音別で降りていなくなり、車内は突然静かになった。帯広につくと、案の定駅の中の飲食店は閉店準備中だ。とりあえずホテルにチェックインする。
■3日目 くもり一時雨
だいたい目覚ましがなる前に目が覚めるというのは、体調は悪くないということだ。着替えてチェックアウトし、カメラのフィルムがないことに気付いてコンビニに走っていったが充分時間はある。
きっぷはぐるっと苫小牧まで購入。キハ40系3両の普通列車に乗るが、後部2両は新得で切り離しの通学ダイヤだ。予想通り、十勝清水で1つの集団が下車、新得でもう1つの集団が降りて、列車の切り離し作業も完了。あっというまに単行になりガラガラの車内になった。
何度目かの正直で新狩勝トンネルの出口を観察することができ、そのうち富良野へ。そろそろ職場への連絡を取ろうとパソコンを繋いでみるがうまく動かずいらいらする。富良野のせいではないが富良野の印象が悪くなってしまった。富良野線は軽快ディーゼルキハ150系の単行だ。富良野の時点では座席がさらっと埋まる程度だったのだが中富良野・美瑛と乗る客が多く立ち客があふれてきた。自衛隊の隊員も乗っている。旭川では自衛隊の人も一緒に特急へ移動。時間があれば駅前でバスの撮影をと思っていたがそれは無理なようだ。
詳しくないので花の名前などは分からないが、駅のホーム脇や民家の庭先に競って花壇がつくられている。北海道の人たちの春に対する思い入れが垣間見えた思いがする。JR北美瑛駅にて。
岩見沢に到着。少し時間があるので駅前に出るが、弁当をすぐ買えそうな店はなく、いなりと巻き寿司のセットとおにぎりを駅の売店で買う。ディーゼルカーはやはり非冷房のキハ40系2両。部分的に複線になっている室蘭本線を進み、追分で多少の客を乗せる。数少ない石勝線普通千歳行の単行が止まっているが、こちらは先に発車して沼ノ端で千歳線と合流(寝ていたが)、やっと苫小牧に到着した。
中央バスの札幌行は登別始発で10人ほど乗っている。末広町3丁目で左折のはずが行き過ぎてしまうトラブルがあったものの、苫小牧東 IC から道央道へ。途中携帯電話で大声でしゃべっている女性が運転手さんに注意されていて我が意を得たり。結構なペースで走ったのだが、若干遅れて大谷地ターミナル到着。あさっての「あけぼの」の寝台券を持っていたはずだったのだがなくしてしまったので、明日からゆっくり帰ることにする。
■4日目 くもり
目が覚めたのは6時20分ごろ。がんばれは7時発の特急に乗れそうだ。急いで出発準備をする。寝坊したら適当に桑園の駅へ歩こうと思っていたがタクシーで札幌駅前へ。自由席の切符を買ってホームに上がると自由席はかなり混雑しているが、何とか席を確保。どうせ苫小牧や東室蘭でかなり降りるに違いない。と思ったら検札で隣の人の切符が見えて、やはり東室蘭までらしい。五稜郭で「はつかり」と接続するが函館で一旦降りた。
駅前でバスを撮影して駅に戻り、もうホームに入っている海峡のカーペット車へ。場所を押さえてからラーメンなどをすする。最初はすいていたのに、北斗4号が着くと大学生っぽい団体がどやどややってきてうるさいの何の。学生らしい団体も雑魚寝していて、目が覚めると女の子がすぐそばにいたのはびっくりした。
青森に到着。学生連中は秋田行きの「かもしか」に乗るらしい。改札をでて駅前市場をうろつくが、目当てのブツの生鮮物はないようだ。食堂で海鮮丼をたのむと、海老・いか・サーモン・鮪のトロが入った豪華な丼。おやじさんは私としゃべるときは標準語、市場の他の人と話をするときは津軽弁のバイリンガルだ。最初にこの食堂を見かけたときはまだプレハブだったはずだが、改装工事が始まっており、その後テレビで新装されたという話を聞いた。
駅に戻って特急に乗り込む。自由席は2両しかないのでかなりの混雑だ。八戸からは新幹線工事が進んでいるのがよく分かる。一戸をでて次は盛岡かと思ったら40分近くかかって終点。駅前のホテルへチェックインする。できたところらしく新しい。荷物を置いてバスで市内を散歩。
かつて南部縦貫鉄道のレールバスが出ていたホーム跡は廃れてしまっている。跨線橋の屋根が取り払われてなおのこと侘しい。奥に見えるのは鉄道防雪林。下の写真は跨線橋から撮ったもの。1988 年撮影。いずれも野辺地駅にて。
■5日目 曇りのち晴れ 午前中一時雨
今日は東京までなので、どこか1ヵ所寄り道ができそうだ。Webで調べると西根温泉というところなら盛岡から結構バスが出ているようだ。が、もたもたしていて8時台のバスには乗れなかった。9時台のバスの時間に間に合うように少し早目にチェックアウト。
八幡平頂上行きのバスは日野レインボーのトップドア車である。木立の中の抜けて行く気持ちのいい路線だ。バスは1時間ほどで西根温泉に到着。時間があまりないので急いで入る。
付近の山が霧で煙っているのは残念だが、露天風呂はなるほどすばらしい。ただ、長居すると寒いのでスチームバスなどに入って暖まり、ほどほどで出る。
帰りのバスは一部で渋滞したものの、5分程度の遅れで盛岡駅に到着。途中仙台だけ止まるやまびこに乗るので自由席の切符を買った。東京に着くとさきほどまでの肌寒さがうそのように暑かった。